投資の世界に「絶対」はありません。
「絶対儲かる」とか
「絶対2倍になる」というような話は
詐欺師の常套文句です。
絶対に儲かるという訳ではありませんが、
確実性の高い取引というものは存在します。
そのうちのひとつが「裁定取引」です。
今回は、裁定取引がどういったものなのかを説明しつつ
それを行うのにビットコイン等の仮想通貨が適している
ということについても解説します。
裁定取引は確実に儲かる取引!?その手法を解説します。
投資というと、株を買って値上がりを待つとか、
FXでドルを買うというイメージがあるかと思います。
投資入門者によく勧められる投資信託も基本的には
商品を購入して値上がりしたら利益が出て
逆に値下がりしてしまうと損失になるというものです。
「投資にはリスクがあります」のリスクの部分ですね。
このリスクを抑えることができれば、かなりの利益を望めると思いませんか?
リスクを抑えた取引のひとつに裁定取引があります。
裁定取引は「サヤ」を取る取引です。
このサヤを取る取引は世界三大利殖のひとつにも数えられているほどです。
ここで言う「サヤ」というのは、価格差の事を指します。
売買で儲けるためには、安く買って高く売ることが必要です。
これは商売の基本というか、根本的なところです。
商品を安く仕入れて高く売ることができなければ商売は成立しません。
株の売買でも、安く買って高く売ることができれば利益を出すことができます。
逆に買った株が買値以下に値下がりしてしまった場合、
その状況で売ると損失が確定します。
この場合に自分の過ちを認めて損切りをするのか、
損失を確定しきれずに塩漬けにするかのどちらかになります。
買った株が必ず値下がりするかどうかなんて誰にも分かりませんよね?
だから「投資にはリスクがあります」ということなんですが、
サヤを取る取引は非常にリスクを抑えることができます。
どういうことかというと、
すでに価格差があるものに対して
安い方を買い、高い方を売るということが同時にできれば、
売買が成立した時点で利益が確定します。
ここで売買する対象になるものですが、
株では同じような値動きをする別々の株で
価格差が見られた時にサヤ取りをします。
価格差が開いた後、元に戻ろうと価格差が狭まる動きをすることが
分かっている銘柄同士で行います。
株だと、市場は一つだけですが、
(東証一部の銘柄だと市場は東京証券取引所のみです)
ビットコインを始めとする仮想通貨では、
多数の取引所が存在しており、それぞれで市場が形成されています。
同じビットコインでも複数の市場がある訳ですから、
その価格に乖離が発生することもあります。
例えばある取引所で大量の売り注文が入って
他の取引所と比べてビットコインの価格が下がっているということもある訳です。
仮想通貨では、株などと比較して
同じ投資対象に対して複数の市場が存在するために
裁定取引を行いやすいという特徴があります。
ビットコイン自体はどの取引所で売買しても同じものですので
同数のビットコインを安い取引所で買い、高い取引所で売る
ということを行えば、その時点で利益が確定します。
ほぼリスクがなく利益を得られる訳です。
これが裁定取引が世界三大利殖のひとつと言われる所以です。
ビットコインで裁定取引を行うにはシステムトレードが必須?!
サヤを取ることができれば儲かる裁定取引ですが、
肝心なのはどうやってサヤが取れるかを検知することです。
各取引所ではビットコインが活発に売買されていますので、
相場は常に変動しています。
サヤを取るためには価格の乖離をいかに早く検知するかにかかっています。
価格の乖離を検知しても、売買まで時間がかかってしまっては
サヤを取れる条件で取引ができずに
機会損失になってしまいます。
そこで登場するのがシステムトレードです。
複数の取引所でビットコインのレートを常時監視して、
取引所間で価格に乖離が出たことを検知した場合、
その価格で売買を行えればいい訳です。
このような取引を行うには、
まさにシステムトレードが得意とするところです。
システムの仕組みとしては、以下になります。
・各取引所のレートを常時監視
・レート間での価格の乖離を算出
・利益が出せる乖離がある場合、自動売買を行う
比較的シンプルな仕組みで実装できてしまいます。
ですので、ビットコインの裁定取引には多くの人が参入しました。
「ビットコインの裁定取引は確実に儲かりそう!」と
思われたかもしれませんが、
何も考えずにやると損失が出る場合もあります。
これから裁定取引を行ってみたいという方に
損失が出ないようにするため、注意点を上げておきます。
絶対に儲かる?ビットコインの裁定取引で注意すべきこと
「裁定取引でなんで損失が出るの?」と
疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
裁定取引でまず注意すべき点は、
「手数料がいくらかかるのか」ということです。
「サヤを抜く」取引は、価格の乖離を狙った取引ですので、
基本的に1回の取引ごとの利益は少額になります。
ビットコインの価格差が1,000円程度を狙っていく訳です。
1,000円というと結構大きいと思われるかもしれませんが、
現時点(2018/07/30)で1 BTCが90万円ほどです。
A取引所で900,000円で買い、B取引所で901,000円で売ることができれば
1,000円の利益が確定します。
ただ、ここで取引手数料が0.1%かかるとします。
この場合、A取引所で1BTCを900,000円で購入するのに
手数料が900円かかります。
一方B取引所で1BTCを901,000円で売る場合に
手数料が901円かかります。
売りと買い両方合わせると手数料は1,801円になります。
利益は1,000円ですので、801円のマイナスになってしまいます。
ということは、ビットコインの価格差が2,000円程度ないと
利益が出せないということになります。
取引手数料は各取引所によって異なりますので、
事前の確認は必須です。
もう一つが、大量の資金が必要になることです。
先ほどの例ですとA取引所で900,000円で1BTCを買い
B取引所で901,000円で1BTCを売ることになります。
1,000円を得るために900,000+901,000=1,801,000円が必要になります。
しかも「売る」ためにはあらかじめビットコインを保持しておかなくてはいけません。
持っていないビットコインを売ることはできませんからね。
A取引所に日本円を入れておいて、B取引所でビットコインを持っている状態にしていたとしても、
逆の価格乖離が起こった場合(A取引所の価格が高くB取引所が安い)
A取引所にビットコインが、B取引所に日本円がなければ
売買を行うことができません。
どちらにも対応できるように備えておくことを考えると、
さらに大量の資金が必要になります。
ただし、資金量については対応方法があります。
それは「証拠金取引」を使うことです。
証拠金取引で有名なのはやはり「FX」でしょう。
FXは外国為替証拠金取引のことですが、
ビットコインにもFXがあります。
bitFlyerやQUOINEXなど、日本の大手仮想通貨取引所でも
ビットコインのFX取引が可能です。
証拠金取引では、レバレッジをきかせることができます。
例えばbitFlyerでは15倍までのレバレッジが可能です。
これは資金量の15倍で取引ができます。
さらに証拠金取引だと「売り」から入ることも可能です。
ビットコインを持っていなくても、売りを行うことができる訳です。
このように証拠金取引であれば少額でも裁定取引で利益を上げられる道筋が見えてきましたが、
こちらでも注意が必要な点があります。
証拠金取引は現物の取引と違い
エントリー注文とエグジット注文があります。
どういうことかというと、
買い、もしくは売り注文を行いこれが約定すると
「建玉」を保持した状態になります。
買い注文であれば、買いの建玉を持ちます。
この建玉は必ず反対売買で決済しないといけません。
買いの建玉であれば、同数の売り注文を入れて決済します。
決済が完了した時点でその取引の損益が確定します。
現物であれば1回の買いもしくは売りでその注文は完結しますが、
FXではエントリーとエグジットの2注文のセットで完結する訳です。
ですので、証拠金取引で裁定取引を行う場合には、
エントリーのタイミングでの価格の乖離が
エグジットのタイミングで狭まっている状態になっていないと利益とならない訳です。
であれば、常時各取引所のレートを監視しておき、
通常時よりも乖離が大きくなったことを検知するとエントリー注文を出し、
乖離が通常時に戻ったタイミングでエグジット注文を出すということができれば
証拠金取引でも裁定取引で利益を出せそうです。
まとめ
ビットコインの裁定取引は個人投資家でも参入できる可能性のある取引ですが、
取引手数料や資金量などきちんと考慮しておくべき点もあります。
しかし裁定取引(サヤ取り)は世界三大利殖にも数えられているように
非常に手堅い取引手法です。
証拠金取引(FX)を使ったビットコインの裁定取引については
個人投資家でも利益を上げられそうな可能性を感じます。
その手法や実現方法、利益を出す条件等、
改めて別の記事でじっくりと考察したいと思います。