仮想通貨のシステムトレード。個人も入りやすい理由とは?

管理人は現在、仮想通貨のシステムトレードをメインに取り組んでいます。
システムトレードを始めたのはFXからでした。
MT4でプログラムを組んでバックテストをしてというところからシステムトレードに入りました。
MT4での開発は、今は休止状態(記事を書く意味でも再開したいと考えています)で、仮想通貨(主にビットコイン)のシステムトレードに移っていった訳です。
仮想通貨はシステムトレードを行う上で他の金融商品にはないメリットがあります。
今回はこの点について解説していきます。

システムトレードを行うためのAPIが充実している

システムトレードを行うためには、取引所に対してプログラムから価格等の商品情報を取得したり、注文を出したりということができる必要があります。
これを行うためには、取引所がAPI等の環境を用意している必要があります。
APIやプログラムを実装する環境がないと、システムが取引所から価格情報を取得できませんし、ましてや注文を出すこともできません。
(ネット証券会社に自動ログインする仕組みを作って、価格情報を取得したり自動発注を行うプログラムを開発されている方もいらっしゃいますが、これはあまりおススメしません。)

管理人が以前システムトレードを行うことができる環境について調べたことがあるのですが、日本でこういった環境が用意されている金融商品というのは非常に少ない状況でした。
しかも個人投資家レベルで扱うことができるのは非常に限られた範囲でした。

・株のシステムトレード
まず株ですが、基本的に日本のどの証券会社も個人投資家向けにAPIを用意していません。
調べた中で唯一カブドットコム証券がAPIを提供していますが、このkabu.com APIは個人投資家には提供されていません。
APIが提供されているのは法人のみで、個人が利用するにはこの法人(サードパーティー)が提供するシステムを利用するしかないという状況です。
サードパーティーがどのようなシステムを提供するか次第ですが、システムトレードのメリットを活かすという意味では、あまり期待はできなさそうです。

個人投資家が日本で株式のシステムトレードを行える環境としては、マネックス証券が提供しているトレードステーション(TradeStation)が私の知るところ唯一のものです。
トレードステーションはアメリカで非常にメジャーなトレーディングツールで素晴らしいものです。
トレードステーションについては、別記事で詳しく解説します。

・FXのシステムトレード
FXではいくつかの証券会社でMT4を利用できる環境が提供されています。
MT4を用いればもちろんシステムトレードは可能です。
基本的に各証券会社で用意しているMT4をダウンロードして使用します。

MT4は優れたシステムトレードツールですので、これを用いてシステムトレードを行うということもよいでしょう。
管理人もシステムトレードを始めたのはMT4からでした。
MT4についても別記事で詳しく解説します。

MT4以外でシステムトレードが可能、つまりAPIが提供されているということでいうと、OANDA Japan一択でしょう。
MT4以外でシステムトレードを行いたい、例えばPythonのライブラリを使用したいとか、システムトレードに機械学習(Deep Learning)を適用したい等になるとMT4で行うのは難しくなります。
こういった場合にも、OANDA fxTrade APIでは実装が可能です。

・仮想通貨のシステムトレード
大抵の仮想通貨取引所にはAPIが用意されています。
ビットコインはもちろん、イーサリアムやリップルなどのアルトコインについてもシステムトレードが可能です。
「APIが用意されていない仮想通貨取引所はない」というか、ほぼ全ての仮想通貨取引所でAPIが用意されています。

APIを用いれば、好きなプログラム言語でシステムを構築することが可能です。
Pythonで組むこともrubyで組むことも、PHPでもJavaでもC#でも可能です。
Pythonでは機械学習のライブラリが充実していますが、もちろんこれらを用いてのシステムトレードも可能です。

APIではコインの価格や口座情報等の取得、売買注文の発注、現在保持している注文や建玉情報の取得等が可能です。
自動売買に必要なほぼ全てのことがAPIを通して可能なのです。

見出し2:仮想通貨取引所ごとに板が存在する
株ですと東京証券取引所、大阪証券取引所等で取引が行われ、FXでは個人投資家が直接インターバンク市場で取引することはなく、FX業者等を介して取引を行います。
一方仮想通貨では、仮想通貨取引所で個人が直接取引を行います。

各仮想通貨取引所には、それぞれで板が存在します。
株だと、例えば任天堂の板は東証のものだけで、どの証券会社を使用しても同じ板を見る事になります。
一方、仮想通貨取引所はそれぞれに板を持っています。
仮想通貨取引所ごとに市場が形成されていますので、取引所間で価格の乖離も起こり得ます。
この価格の乖離を狙ったのが裁定取引(アービトラージ)で、ビットコインを使った裁定取引というのも有名な手法ですので、これについても別記事で詳しく解説します。

各取引所で板を持っているということで、一番大きなことは板情報が取れるということです。
各取引所ではAPIで板情報を提供しています。
生の板情報や取引情報をAPIで取得できるのです。
これはシステムトレードにとって大きなアドバンテージです。

FXでも価格情報は取れますが、そもそもFXには板情報というものが存在しません。
価格の変動もインターバンク市場によるものです。
株のように板と歩み値で価格が変動するという訳ではありません。
「板読み」ということができないんですね。

仮想通貨取引所には板が存在しますので、板読みも可能になります。
各板の価格と厚みをAPIで取得することができます。
さらに、出来高も取得することができます。
システムトレードにとって、これは非常に大きなことです。
MT4では、ほぼ価格の変動にしか頼ることしかできませんでしたが、仮想通貨のシステムトレードでは価格以外の情報も取得、利用できるのです。

仮想通貨取引所でそれぞれ独自の板が存在するというところが仮想通貨取引の大きな特徴の一つです。

見出し3:仮想通貨のFXも可能
FXというと、多くの場合外国為替証拠金取引のことを指しますが、仮想通貨でもFXが可能です。
仮想通貨のFXとはどういうことかというと、仮想通貨の証拠金取引のことです。
もちろん、仮想通貨の証拠金取引を利用するためには、仮想通貨取引所がサービスを提供している必要があります。

現物取引だとビットコインを売りたい場合、ビットコインを持っておく必要があります。
自分が持っていないものを売ることはできませんからね。
しかしシステムトレードだと、売りから入りたいという局面が往々にしてあります。
この場合に、ビットコインを持っておかないとトレードができないというのは不利(機会損失)になってしまいます。
一方、証拠金取引ができれば売りから入ることが可能になります。
機会損失が防げる訳ですね。

ただし、気をつけなければいけないのは、現物取引は1回の取引で完結ですが、証拠金取引では買い、もしくは売りで入ったら建玉が作られますので、必ずこれを決済させる必要があるということです。

買いで入って買いの建玉を持ったらこれを売って決済させないといけません。
売りで入った場合はこの逆になります。
決済したタイミングで取引が完結して、そこでその取引の損益が確定します。

システムトレードには欠かせないといってもいい証拠金取引ですので、仮想通貨の証拠金取引(FX)についても、別記事で詳しく解説します。

まとめ
色々な金融商品でのシステムトレードと比較しながら仮想通貨のシステムトレードについて解説しました。
個人投資家が日本でシステムトレードを行うには環境がまだまだ限られています。
その中でも仮想通貨はAPIが提供されていることもあり、システムトレードを行う環境が整っています。
特に仮想通貨取引所に板が存在するということが非常に大きな強みになっています。
仮想通貨のシステムトレードについて、具体的な実装方法など今後順を追って解説していきます。