オプション取引は難しい?リスクを抑えて安定して稼ぐ手法

オプション取引に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
「よくわからない」
「なんだか難しそう」
「失敗したら家まで売らないといけない怖いものでしょ?」
のように思われている方もいらっしゃるかもしれません。

確かにオプション取引の概念を理解するには少し勉強する必要があります。
ギリシャ文字など難しい概念が次々と出てきますが、この全てを理解しなければ取引ができないというものでもありません。

理解できるに越したことはありませんが、オプション取引の概念と自分が行う取引について理解できていれば、損失を限定した上で勝率の高い取引を行うことも可能です。
一見複雑に見えるからこそ、様々な戦略を取り得るのがオプション取引です。
オプション取引がどのようなものなのか解説します。

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オプションは金融派生商品、いわゆるデリバティブ商品です。
オプションとは、例えば株をある決められた期日に指定した金額で買う(もしくは売る)権利のことです。
買う権利のことをコール(Call)オプション、売る権利のことをプット(Put)オプションと言います。
この権利自体を売買することができて、これをオプション取引と言います。

オプションには必ず株やETF、株価指数などの原資産が存在しています。
この原資産を決められた期日に指定した金額で買う権利、もしくは売る権利がオプションになります。

この「決められた期日」を満期日といい、満期日に原資産がどのような価格をつけるかで権利行使されるか、権利放棄されるかが決まります。

例えば、アップル株で考えてみましょう。
(なぜアップル株を例えに出したのかは後程説明します)
アップル株が150ドルのコールオプションを買った場合を考えます。

満期日にアップル株が160ドルだった場合、コールオプションは「買う」権利ですので満期日に権利行使すれば150ドルでアップル株を買うことができます。
市場価格が160ドルになっていますので、150ドルで買って160ドルで売ることができます。
この場合10ドル分の利益になります。
(アメリカ株のオプションは1取引単位100なので、1取引単位あたり1,000ドルの利益)
アップル株がさらに上昇すれば、利益はさらに伸びることになります。

逆に満期日に140ドルだった場合はどうでしょうか?
権利行使を行うと150ドルでアップル株を買うことになります。
しかし、市場では140ドルですので、わざわざ高い価格で買う必要はありませんよね。
ですから、この場合コールオプションは権利行使せずに、権利放棄されます。
コールオプションは「買う権利」ですので、自分自身が不利になる場合には権利行使は行われません。
ただし、買ったコールオプションは権利放棄されてしまうため、価値が0となります。

ここにオプション取引の特色があります。
オプションを買った場合は、利益は無制限、損失は限定することができます。
買ったオプションの価格(プレミアムと言います)以上の損失は受けないのです。
損失が限定される代わりに、権利放棄された場合は価値がゼロになってしまうリスクはあります。

今度はコールオプションを売る場合を考えてみましょう。
アップル株が150ドルのコールオプションを売った場合を考えます。
オプションを売った場合は、売ったタイミングでその時点でのオプション価格(プレミアム)がもらえます。
売りが成立した時点でプレミアムがもらえますので、先に現金が手元に入るということが買いと大きく異なる点です。

そして満期日にアップル株が140ドルだった場合、オプションの指定価格よりも市場で安く買えるので、このオプションが権利行使されることはありません。
権利放棄されますので、売りの時に手に入れたプレミアムが丸々利益になります。

逆にアップル株が160ドルになった場合だと、このオプションは150ドルで権利行使されますので160ドル-150ドルの10ドル分(1取引単位あたり10,000ドル)が損失となります。
さらにアップル株が下がった場合は、損失がさらに大きくなります。
コールオプションの売りは、買いの場合とは逆に利益は限定的で、損失が無制限となります。

これだけを見るとオプションの売りは怖くてできそうにないと思われる方も多いと思います。
その感覚は正しいです。
単独のオプションの売りは買いの場合と比べて損失のリスクが大きくなります。
では、どうしてオプションの売りは存在するのでしょうか?

「買う」ことができる以上、「売る」人が存在していることは確かです。
ではどういった人がどういった目的でオプションを売っているのでしょうか?
実はオプションの売りは個人投資家にも十分に使える戦略なんです。
では続いてオプションの売りをどのように使うのかを見ていきましょう。

オプションの売りは原資産のリスク回避の目的で行う

オプションを売った場合は売りが成立した時点でプレミアムがもらえますが、コールオプションの売りの場合、原資産(上記の例ではアップル株)が値下がりして満期日を迎えると権利放棄されるためにプレミアム価格分が利益になります。

「原資産が値下がりした場合に利益になる」ということは、原資産を持っている場合にコールオプションを売っておけば、原資産が値下がりした場合でもプレミアム価格分は保証されるということです。
このようにリスクマネジメントのためにコールオプションは売られることが多いのですが、これを取り入れた優れたオプション戦略があるので紹介します。

オプション売りは世界三大利殖の一つ

実はオプションの売りは世界三大利殖のひとつとも言われています。
残りの2つはサヤ取りとサヤすべり取りですが、個人投資家が一番やりやすいのがオプションの売りでしょう。
サヤ取り、サヤすべり取りは資金量がものを言う戦略です。
機関投資家など、莫大な資金量を持っている投資家でないと利益を上げづらいものです。

一方、オプション売りは資金量が少なくても始められるため、世界三大利殖の中でも最も個人投資家向けと言えるでしょう。
オプション売りはプレミアム価格を狙っていく投資方法です。
売りが成立した時点で現金が確実に入ってくるというところが大きな特徴でした。
問題は原資産が意図しない方向に値動きした場合です。

コールオプションの売りの場合、原資産が値上がりしてしまうと無制限に損失が膨らんでしまう可能性がありましたね。
この損失をある程度限定的にできれば優れた投資手法になると思いませんか?

実はこれを実現する方法があるのです。
コールオプション売りのところで原資産を保持している場合の保険に使えると説明しましたが、コールオプション売りの保険に原資産を持てばいいのです。

アップル株が150のコールオプションを売り、満期日にアップル株が160ドルになった場合を考えてみましょう。
コールオプションは権利行使されますので、反対売買を行う(この場合は買い戻す)か、原資産を用立てる必要があります。
この状態を「インザマネー」と言います。

反対売買を行う場合は売ったオプションを買い戻す必要がありますが、このオプションは権利行使されることが確定しているためプレミアムが高くなっています。
この場合のプレミアムは原資産の価格差と同じ(上記の例では10ドル)となることが多いです。
コールオプションを売った際にプレミアムが4ドルだった場合、買い戻すのに10ドル必要ですので、差し引き6ドルのマイナスとなります。

次に原資産であるアップル株を100株持っていた場合を考えてみましょう。
コールオプションの売りを保持している状態で満期日を迎えた場合、現物で決済することも可能です。
コールオプション売りを1枚持っている場合に権利行使されると、取引単位である100株を用立てる必要があります。
元々100株を持っている場合はこれを利用することを考えてみます。

原資産が大幅に値上がりしている場合、期限を迎えたインザマネーのコールオプションは価格が上昇しています。
理論上無制限に上昇する可能性がありますが、これは原資産の価格上昇に伴ってプレミアムも上昇を続けるからです。

コールオプション売りが権利行使されると原資産を用立てる必要があり、原資産を持っていない場合は市場価格で購入する必要があります。
市場価格が暴騰している場合はそんな価格で買いたくありませんよね。

原資産を持っていれば、買う代わりに持っている原資産を充当すればいいんです。
この場合、高騰している原資産やインザマネーのコールオプションを買う必要はありません。
必要なのは原資産とオプションの売買手数料程度です。

しかし、原資産の価格が暴騰しているのに、その価格で売ることはできなくなってしまいます。
利益が限定されてしまう訳ですね。
一方で損失も限定させることができた訳です。

このように原資産で補填する戦略をカバード・コールといい、オプション取引で人気の戦略です。
特にオプション取引初心者の方におススメの戦略です。

このように非常に魅力的なオプション取引ですが、日本で行うのに一つ不利な点があります。
それは日本で取引できるオプションは実質日経225オプションのみということです。

日本株のオプションでは、日本の証券会社で取り扱っているのは光世証券ぐらいです。
ただこれも取引量が少なく、個人投資家が対象にできるようなものではありません。

ということで、日本でオプション取引というと、実質的に日経225オプションということになりますが、これは株価指数を原資産とするオプションで、日経平均を直接取引することはできません。
近いもので日経平均先物がありますが、取引単位が1,000ですので日経平均が20,000円の場合、2,000万円必要ということになります。
このように日本でカバード・コールをやりたいと思ってもなかなか難しい状況ですが、アメリカの証券会社を使えば個人投資家にも十分取り扱い可能な銘柄が存在します。

アメリカでは、個別株のオプションが活発に売買されており、流通量も十分にあります。
オプションの取引単位は100ですから、1株10ドル程度の銘柄を選べば1,000ドル(10万円程度)でカバード・コールを行うことが可能になります。
このように、オプション取引ではアメリカの証券会社を使うことをおススメしています。

実際に私もアメリカの証券会社を使ってオプション取引を行っています。
カバード・コールについては、どの銘柄で行うのがよいのか、いくらのオプションを狙うのかなど、事前に調査を行い決めておく必要があります。
その方法について、詳しくは別記事にて解説します。

まとめ

とっつきにくい印象のあるオプション取引ですが、その手法を知ると非常に有力な投資対象に成り得ます。
ハイリスク・ハイリターンの手法も、ローリスク・ミドルリターンの手法も取り得る金融商品です。

日本の証券会社では取引できない商品ですが、日本にいながら正規の方法でアメリカの証券会社を使って取引することが可能です。
世界三大利殖にも数えられているように、オプション取引は非常に有力な投資商品です。
日本でも広く取引されることを願って止みません。
オプション取引が少しでも活発化するように、このブログでも積極的に取り扱っていきます。
今後の記事にもご期待ください!