ADX~システムトレードに積極的に取り入れたいテクニカル指標

ADXとは、アベレージ・ディクショナル・インデックス
(平均方向性指数)のことです。

ADXは、トレンドが存在するかどうかと、
そのトレンドの強さがどれほどかを計る指標です。

システムトレードを行うにあたっては
是非とも取り入れたい
テクニカル指標になります。

今回はADXについて解説します。

ADX(アベレージ・ディクショナル・インデックス)とは

ADXは、RSI考案者としても有名な
J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニアが考案した
テクニカル指標です。

ADXはトレンドを測定する目的でよく使われます。

トレンドがどれほど強いかを表す指標ですが、
一点注意が必要です。

ADXはトレンドの方向を教えてくれないということです。
ADXの値が大きいほどトレンドが強いことを表しますが、
上昇トレンドと下降トレンドの区別はありません。

トレンドの方向を知りたい時には
別の指標が必要になります。

ですので、トレンドが存在するかを調べたいときや
存在する場合はその強さがどれほどなのかを
調べたいときに使うとよいでしょう。

ADXが上昇し続けている場合は
強いトレンドが維持されていて、
ADXが下落し始めるとトレンドが終わりを
迎えていることになります。

ADXは相場とタイムラグがあるために
これ単独で用いるものではありません。

ADXについて詳しくは考案者の
J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニアが自ら記した
「ワイルダーのテクニカル分析入門」が参考になるでしょう。

ADXの使い方

まず、日足チャート等を表示して
移動平均線を引きます。

トレンドがありそうと思ったら
ADXを表示します。

ADXが30より上の場合は
トレンドが強いとみなすことができます。

一方、ADXが20より下の場合は
トレンドは弱いとみなすことができます。

20~30の間では、
トレンドが強いとも弱いとも言えません。

ADXが30を上回っており、
さらに上昇している場合は
強いトレンドを形成していると言えます。

ADXが下がってきても
30を上回っている場合は
まだトレンドに勢いがあるとみてよいでしょう。

ADXを仕掛けに利用する

トレードに適した相場状況は、
明確な方向性のあるトレンド相場です。

ADXが30を上回る場合は、
トレンドが形成されていると考えられるので
トレンドフォローシステムが
利益を上げやすいでしょう。

強いトレンド相場では
頻繁に売買を繰り返す必要はなく、
トレンドが終わるまで
ポジションを保持しておけば
大きな利益が見込めます。

細かいタイミングをはかるよりも
トレンドのある市場や商品を見つけることに
注力した方がよいでしょう。

一方、ADXが20を下回るような場合、
トレンドのないレンジ相場と考えられます。

このような状況では
トレンドフォローシステムは上手く動作しません。
オシレーター系のインジケーターを使った
トレードシステムを運用すべきです。

レンジ相場の場合はADXが
20を下回っていますから

ADXを利食いに利用する

トレンド相場でポジションを保持している場合、
ADXが下がってくると
トレンドが弱まっていると考えられるため
早めに利食いした方がよいでしょう。

ADXが20を下回ってくると
すぐにでも利食いした方がよいです。

ADXが30を超えて上昇しているような場合では、
トレンドが強いとみなせるため
ポジションをそのまま保持していた方がよいです。

それまで強かったADXが
ピークに近いことを示している場合は
一部を手仕舞い様子を見た方がよいでしょう。

30を下回ってくると
トレンドが消え相場が横ばいになってくる
と思われるので手仕舞いを考えましょう。

ADXの計算方法

ADXを計算するためには、
まずDM(ダイレクト・ムーブメント)を求めます。

DMは前日の高値と安値、
当日の高値と安値を用いて計算します。

+DMと-DMを求めます。
+DMは上昇幅で上昇の強さを、
-DMは下落幅で下落の強さを表します。

まず、前日と当日での高値と安値の変動値を求めます。

高値の変動値 = 当日の高値-前日の高値
安値の変動値 = 前日の安値-当日の安値

変動値によって場合分けします。

+DMの計算方法

1.高値の変動値 > 0 かつ 安値の変動値 <= 0の場合 +DM = 高値の変動値 2.高値の変動値 > 0 かつ 安値の変動値 > 0 かつ 高値の変動値 > 安値の変動値の場合
+DM = 高値の変動値

3.高値の変動値 <= 0の場合 +DM = 0 4.高値の変動値 = 安値の変動値の場合 +DM = 0

-DMの計算方法

1.安値の変動値 > 0 かつ 高値の変動値 <= 0の場合 -DM = 安値の変動値 2.安値の変動値 > 0 かつ 高値の変動値 > 0 かつ 安値の変動値 > 高値の変動値の場合
-DM = 安値の変動値

3.安値の変動値 <= 0の場合 +DM = 0 4.高値の変動値 = 安値の変動値の場合 -DM = 0

1日の変動幅TR(トゥルー・レンジ)を求める

以下の1~3のうち、一番値の大きい数値を取ります。

1.当日の高値-当日の安値
2.当日の高値-前日の終値
3.前日の終値-当日の安値

+DIと-DIを求める

まず、+DM、-DM、TRの14日間の合計を出します。
それぞれ、+DM(14)、-DM(14)、 TR(14)とすると、
+DI(%)および-DI(%)は下記のようになります。

+DI = +DM(14) / TR(14) * 100
-DI = -DM(14) / TR(14) * 100

ADXを計算する

ADXを計算するために、
DXを求めます。

まず、+DIと-DIの差の絶対値を求めます。
これを+DIと-DIの合計値で割ります。

DX = (+DIと-DIの差の絶対値) / (+DIと-DIの合計値) * 100

ADXは、上記で求めたDXの14日間移動平均です。

まとめ

ADXは、トレンド状況を把握するために
非常に有用な指標です。

価格の変動履歴から計算できるため
システムトレードとも相性がよい指標です。

ADXを使った高勝率トレードについて、
下記の書籍にも詳しく解説されているため
興味のある方はぜひ参考にされてください。

トレード本の名著ですので、
本気で投資を志す方は一読をおススメ致します。